Lest we forget -英国の終戦記念日

poppy field

一面に咲いたポピーの花


They shall grow not old, as we that are left grow old: 
Age shall not weary them, nor the years condemn.
At the going down of the sun and in the morning,
We will remember them.

内訳:時は彼らに影響しない。日が昇る時、日が沈む時、私達は彼らを思う。

 

11月11日は終戦記念日、Remembrance Dayです。

第一次世界大戦の終戦日に戦没者を追悼する日で、イギリスだけでなく多くの西洋諸国(主にコモンウェルス)にとって、一年に一度 戦争や戦没者について思いを馳せる日です。また現在では、第一次世界大戦だけでなく、第二次世界大戦、そして1945年以降の全ての戦争でイギリスのために命を落とした、または負傷した兵士に敬意を表する日でもあります。

場所や主催者によって変わりますが、戦争が終結した1918年11月11日の11時11分か、11月11日 に一番近い日曜日(リメンバランス・サンデー)、つまり今年は今日に、2分間の黙祷や、様々な式典が行われます。上の詩はその式典で使われるものです。

 

この日を象徴するのが赤いポピーです。

第一次世界大戦で、ヨーロッパの激戦地となったフランダース。戦闘が止んだ後、荒れ野原には赤いポピーが一面に咲いていました。 その地で従軍していて、親友を亡くした医者、ジョン・マクレーは、一面に咲いたポピーの花から着想を得て「フランダースの野に」という詩を書き、出版しました。この詩はまたたく間に世に広まり、赤いポピーは戦死者を悼む象徴になりました。

英国の人々は11月の初めから、全国で造花のポピーを胸に飾って戦死者を悼みます。

戦没者を悼むポピー

戦没者を悼むポピー

もう一つ詩を紹介します。

"The inquisitive mind of a child"

Why are they selling poppies, Mummy?
Selling poppies in town today.
The poppies, child, are flowers of love.
For the men who marched away.

But why have they chosen a poppy, Mummy?
Why not a beautiful rose?
Because my child, men fought and died
In the fields where the poppies grow.

But why are the poppies so red, Mummy?
Why are the poppies so red?
Red is the colour of blood, my child.
The blood that our soldiers shed.

The heart of the poppy is black, Mummy.
Why does it have to be black?
Black, my child, is the symbol of grief.
For the men who never came back.

But why, Mummy are you crying so?
Your tears are giving you pain.
My tears are my fears for you my child.
For the world is forgetting again.

Author Unknown

子供がお母さんにポピーについて色々と質問をする詩です。

何故ポピーを売っているのか。何故ポピーを選んだのか。何故ポピーは赤いのか。何故ポピーの中心は黒いのか。何故お母さんは泣いているのか。

それに対するお母さんの返事は、ポピーは戦地に赴いた人たちへの愛。兵士が死んだ戦場にはポピーが咲いていたから。ポピーが赤いのは兵士たちの血であり、黒い中心は帰ってこない彼らの私達の嘆き。そして泣いているのは、子供たち、世界がそのことを忘れてしまったから。

月日が立って、戦争を知っている世代の方たちが、次々と亡くなってゆく中で、戦争を知らない世代の私達が、どうやってこの平和の意味を子供たちに伝えるのか、どうやってこの平和の大切さを教えるのか。そんな事を考えさせる詩です。

日本では馴染みのない日ですが、様々な戦争で命を落とした、世界中すべての人の冥福を祈ることにしています。

沢山の命の犠牲の後で訪れた、戦いのない平穏な日々。当たり前な毎日を感謝しながら生きていきましょう。